恋人たちのパンドラ【完】
「はっ、どうしてだって、そんなに理由が大事かよ?おせっかいな人がいるんだよ。彼女の浮気、しかも他の男と産婦人科に出入りしてるって教えてくれる親切な人がね」

「そ、壮介―――」

「お前俺にあんなに笑いかけて陰でこの男と笑ってたのか?以前、園に迎えに来ていたっていうのもこの男なのか?」

「ち、違う」

必死で否定する悠里、目は涙目ですがるように壮介の腕に手をかけようとしたが、その手は無情にも壮介自身の手で叩き落された。

「俺に触るな!なら、なんでそいつと産婦人科になんか行ったんだ」

「それは」

言葉が続かず握り締めた拳にますます力が入る。おそらく爪は手のひらに食い込んでいるだろう。
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