恋人たちのパンドラ【完】
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悠里はスーツケースを手にして、ひかり園を訪れていた。
「ユーリ、遠くにいっちゃうのか?」
タツキは小さな手で悠里の手をつかみ、下から見上げていた。その顔は今にも泣きだしそうで、口はへの字になっている。必死で我慢しているんだろう。
両親と離れて暮らす、ここの子供たちは大人たちが‘遠くへいく’ということを経験上恐れている。
それなのに、こんな小さな子にそんな顔をさせていると思うと悠里は居たたまれない気持ちでいっぱいだった。
何も言わずに、行ってしまうことももちろん考えたが、いつまでも待ちわびていてそれでも来ないと分かった時の小さな心の傷を考えるとできなかった。
きちんと、お別れをして私の気持ちを伝えていかないと新たなトラウマを植え付けてしまうかもしれない。それだけは、未熟だけれど‘大人’としてきちんと果たしていかなければならない。
たとえここに来るのが最後だとしても。
悠里はスーツケースを手にして、ひかり園を訪れていた。
「ユーリ、遠くにいっちゃうのか?」
タツキは小さな手で悠里の手をつかみ、下から見上げていた。その顔は今にも泣きだしそうで、口はへの字になっている。必死で我慢しているんだろう。
両親と離れて暮らす、ここの子供たちは大人たちが‘遠くへいく’ということを経験上恐れている。
それなのに、こんな小さな子にそんな顔をさせていると思うと悠里は居たたまれない気持ちでいっぱいだった。
何も言わずに、行ってしまうことももちろん考えたが、いつまでも待ちわびていてそれでも来ないと分かった時の小さな心の傷を考えるとできなかった。
きちんと、お別れをして私の気持ちを伝えていかないと新たなトラウマを植え付けてしまうかもしれない。それだけは、未熟だけれど‘大人’としてきちんと果たしていかなければならない。
たとえここに来るのが最後だとしても。