恋人たちのパンドラ【完】
「タツキ君ごめんね。私、お勉強するために遠いところに行くの。タツキ君と離れ離れになるのはさみしいけど、タツキ君のこと大好きだからね」

「ホントに?」

いつもはわざと大人びた言い回しをするタツキが、この時ばかりは縋るように目を向けた。

「本当だよ」

そう言って、屈んで目線を合わせるとギュッと抱きついてきた。

「わかった!俺、ちゃんといい男になるよ。将来ちゃんとユーリお嫁さんにするために頑張るよ!」

そういって涙をにじませながら二コリと笑う。

「ありがとう。だけどお姉ちゃんはもう誰のお嫁さんにもなれないの」

そう言った悠里の言葉を理解できないタツキは不思議そうな顔をしていた。

二人のその姿をシスターは悲しそうに見つめていた。
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