恋人たちのパンドラ【完】
***
いつもならなかなか覚醒しない悠里もこの時ばかりは瞬時に目が覚めた。
だが、それが本当に目覚めたのがまだ夢の中なのかはっきりしないままだったが。
(急に大人になってる?)
さっきまで小さな男の子とお昼寝していたのに、目覚めたときには成人男性が寝ころんでいたんだから、驚くのは当たり前だ。
「あの……、タツキ君?」
悠里は少年の名前を呼んで、成人男性の肩をゆすってみる。
「んっ……」
小さく声をあげて寝返りを打つ。
顔にかかっていた長めの黒髪がさらりと揺れ、隠れていた顔がはっきりと悠里の目に映った。
(なんて綺麗なんだろう)
春の日差しを受けたその美しい顔には、長い睫毛と高い鼻の影がくっきりと落ちていた。
そしてきつく結ばれた意志の強そうな唇がより彼の美しさを際立たせていた。
悠里は思わず、じっと顔を観察して溜息が出た。
いつもならなかなか覚醒しない悠里もこの時ばかりは瞬時に目が覚めた。
だが、それが本当に目覚めたのがまだ夢の中なのかはっきりしないままだったが。
(急に大人になってる?)
さっきまで小さな男の子とお昼寝していたのに、目覚めたときには成人男性が寝ころんでいたんだから、驚くのは当たり前だ。
「あの……、タツキ君?」
悠里は少年の名前を呼んで、成人男性の肩をゆすってみる。
「んっ……」
小さく声をあげて寝返りを打つ。
顔にかかっていた長めの黒髪がさらりと揺れ、隠れていた顔がはっきりと悠里の目に映った。
(なんて綺麗なんだろう)
春の日差しを受けたその美しい顔には、長い睫毛と高い鼻の影がくっきりと落ちていた。
そしてきつく結ばれた意志の強そうな唇がより彼の美しさを際立たせていた。
悠里は思わず、じっと顔を観察して溜息が出た。