恋人たちのパンドラ【完】
しぶしぶ席を立つ女性の一人が悠里のそばを通る時にピンヒールでわざと足を踏んだ。

「あら、ごめんなさいね。あんまりみすぼらしいから気がつかなかったわ」
そう鼻で笑う女性に

「よけいなことはするな」

と壮介が一言いう。悠里をかばったような壮介の言葉に不満をあらわにした女性はドアを音を立てて締めて出て行った。


居たたまれない雰囲気にのまれる前に、悠里から言葉を発した。

「お話というのはどういうことでしょうか?9年前のことでしたら―――」

「9年前ね・・・」

悠里の言葉を壮介が阻む
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