恋人たちのパンドラ【完】
「君にとってはもう9年もたってるんだからって思ってるんだよな?
俺も君を実際に見るまではそう思ってたよ。
だけど、違う。これは過去の話じゃない。なぜだと思う?」

「・・・」

壮介の問いかけに悠里は返答できなかった。

「まだ、償ってもらってないからだ!」

‘ガチャン’

持っていたグラスを乱暴にテーブルに置いたせいで、大きな音が出た。

その音で悠里は肩をビクリとさせた。


「あの時、話しを聞こうにも君はすぐにいなくなった。
ひかり園にも顔を出さず引越しもしていた。
それが俺の疑問に対する君の答えだと言うことは分かった。
だが,ただの一度も君は謝罪したか?
泣いて俺に縋って許してほしいと詫びもしなかったじゃないか」

壮介の激しい言葉と視線に悠里は耐えられず、唇が震えだした。
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