恋人たちのパンドラ【完】
***
直樹は会場に着くと、悠里を休憩用のパイプ椅子に座らせて、さっきのお茶を持ってきた。

「大丈夫ですか?」
大きな瞳で覗き込むように聞いてくる。

「うん。平気。っていうか何でもないよ。ただの世間話」

そうやってひきつったように笑う悠里をみて

「そういう風に見えなかったから、大丈夫かって聞いてるんです」

少し怒ったような口調の直樹に悠里は戸惑ったが

「大丈夫だよ。心配かけてごめんね」

と笑顔で返すしかなかった。

「俺じゃ・・・俺じゃ役に立ちませんか?」

真剣な顔の直樹に

「役に立ってるよ。いつだって、こうやって助けてくれてるし」

そうやって展示会場を見渡す悠里


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