恋人たちのパンドラ【完】
「違います。もちろん仕事でもそうですけど、俺の言ってるのは、徳永さんの心の話」
「心の?」
「碓井専務と過去に何かあったかは、深く詮索はしません。ただ俺はその何かで傷ついている徳永さんを抱きしめたいだけです。抱きしめて、大丈夫だってそばで言ってあげたいんです」
真剣に瞳を覗かれ強く言葉が紡がれた。
直樹の真剣な思いが悠里の心を打つ。
しかし、悠里は首を横に振るだけだった。
「傷ついてるのは私じゃないのよ。彼なの。私は誰かに慰めてもらう資格なんてないのよ」
そう言って、何もない床を見つめる悠里に直樹はそれ以上何も言えなかった。
悠里はこんなに親身になってくれている直樹に申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、9年前のあの日から誰も愛さないと心に決めいていた。
――――壮介以外は・・・
「心の?」
「碓井専務と過去に何かあったかは、深く詮索はしません。ただ俺はその何かで傷ついている徳永さんを抱きしめたいだけです。抱きしめて、大丈夫だってそばで言ってあげたいんです」
真剣に瞳を覗かれ強く言葉が紡がれた。
直樹の真剣な思いが悠里の心を打つ。
しかし、悠里は首を横に振るだけだった。
「傷ついてるのは私じゃないのよ。彼なの。私は誰かに慰めてもらう資格なんてないのよ」
そう言って、何もない床を見つめる悠里に直樹はそれ以上何も言えなかった。
悠里はこんなに親身になってくれている直樹に申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、9年前のあの日から誰も愛さないと心に決めいていた。
――――壮介以外は・・・