恋人たちのパンドラ【完】
***

展示会の一週間はまさに矢のように早く過ぎた。

悠里は連日三国百貨店の催し物売り場で対応に追われ、会社での事務仕事を終えて帰宅するのは終電ギリギリだった。

三国では直樹も一緒に働いていたが、あの告白のようなセリフを聞いて気まずさが残るかと思ったが、今まで通りの直樹の態度に心底悠里は救われた。

正直、仕事と壮介のことでいっぱいいっぱいでそこまで気が回らなかったというのが事実。

自分よりも仕事もでき、人間性も優れている後輩に好意を持たれて嬉しくないわけではなかった。

だが悠里の心は9年前から壮介一人に染められたままだ。

それを今さら他の色に変えられそうにもない。

ふとそんな風に考えてると、綾川を連れた壮介の姿が目に入った。

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