恋人たちのパンドラ【完】
今までかたくなに動かなかった足でスっと立ち上がった壮介は、悠里の細い腕を掴んだ。

「まだ飲めるだろう?ちょっと付き合え」

そう一言だけいってバーテンにチェックを促す。

「あっちの席のも一緒に」

そう短く伝えた後、悠里の方を一瞥しそのまま腕を引っ張った。

「あの、ちょっと壮介、お金・・・」

「そんなことどうでもいい」

そう言ってエレベーターに向かい、ボタンをもどかしそうに何度も連打していた。

「あの、付き合うって飲むんだよね。だったらあのラウンジで――」

そう言う悠里に

「いいから、だまって」

そう短く答えた。悠里は壮介がそれ以上答える気がないことを悟ると黙って促されるままついていった。
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