恋人たちのパンドラ【完】
***
二人が初めて出会ったシラカシの大木があるのは、教会の運営するひかり園という孤児院だった。
「二人ともよくお手伝いに来てくれているのに、会うのは初めてなのね」
そう園のシスターが二人が知り合いでなかったことが不思議だというような話しぶりをした。
「まぁ、でも、あらそう……ふふふ」
二人並んでたっている姿に意味深な笑いが向けられ、二人とも何とも居心地が悪くなったので、園を後にすることにした。
駅までの道のり、とくに何も話さなかった。何か会話を交わすよりも柔らかい空気がそこにはあった。
駅で別の電車に乗る二人が最後にやっと交わした会話は
壮介からの
「次はいつ会える?」
と言う質問に
「火曜日か土曜日の午後に」
そう悠里が答えたものだった。
二人が初めて出会ったシラカシの大木があるのは、教会の運営するひかり園という孤児院だった。
「二人ともよくお手伝いに来てくれているのに、会うのは初めてなのね」
そう園のシスターが二人が知り合いでなかったことが不思議だというような話しぶりをした。
「まぁ、でも、あらそう……ふふふ」
二人並んでたっている姿に意味深な笑いが向けられ、二人とも何とも居心地が悪くなったので、園を後にすることにした。
駅までの道のり、とくに何も話さなかった。何か会話を交わすよりも柔らかい空気がそこにはあった。
駅で別の電車に乗る二人が最後にやっと交わした会話は
壮介からの
「次はいつ会える?」
と言う質問に
「火曜日か土曜日の午後に」
そう悠里が答えたものだった。