恋人たちのパンドラ【完】
「あの男とは、ずっと続いているのか?あの時から・・・」

壮介の少しこわばった声に不安になりながらも悠里は答えた。

「あの男ってさっき一緒にいた?」

「そうだ、あの―――、いや、いい答えなくて」

そう言って悠里の次の言葉を発するのをとめた。

「あの人は―――」

それでも続けようとする悠里に

「言うな!もう何も言わなくていい」

そう声を荒げて先の言葉を続けさせてはくれなかった。

「すまない。大きな声をだして。だが―――」

一度言葉を切って壮介が続ける

「俺が9年間引きずっていまだ苦しんでるなか、お前だけ幸せそうにしてるのは許せない」

眉間にしわを寄せて壮介は悠里を見つめる。

許せないという言葉を使いながら、壮介の表情は怒りよりも苦しみが感じ取れそれがなお一層、悠里の自責の念を駆り立てた。

「ご、めんなさい」

小さな声でそう返す。
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