恋人たちのパンドラ【完】
壮介はかみしめられた唇がひどくかわいそうに思えて、舌で悠里の唇をなぞった。

思ってもみなかった行動をとった壮介に驚いた悠里の唇が開き、そこに壮介の舌が侵入してくる。

「くちゅり―」

そう差し込まれた舌と唾液は甘い媚薬のようで悠里の身体の緊張を一気に解き放った。

それを壮介も感じ取り、口づけしたままでゆっくりと悠里の中に進んでいった。

悠里と壮介がきっちりと一つになった瞬間。

お互いこの時は、なにも考えずにただそこにいる二人だけの世界だった。

目の前にいる相手だけがこの世界の真実―――
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