恋人たちのパンドラ【完】
「壮介、私ちゃんと9年前の約束果たしたよ。全部ちゃんと壮介にあげた」

そう穏やかに二コリと笑顔を作って話す悠里が痛々しくてたまらない。

壮介は悠里を再度胸に抱き、悠里の髪に自身の顔をうずめ

「なぁ、悠里ちゃんと話しよう。ちゃんと話してくれ、そうでないと―――」

そう話す壮介の言葉を悠里の言葉が遮った。

「シャワー先に浴びて来て・・・」

潤む瞳で悠里にそう言われ、壮介は

「わかった」

としか答えようがなかった。
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