太陽とひまわり。
月くんの実家はマンションだった。
エレベーターに入ると短い時間の中で太陽くんと別れてからの5年という月日を思い出す。
「長かったな…」
「そうかな?俺には3年しか付き合ってないって感じるけどなー」
独り言として終わらせようとしたのに、あたしの独り言は月くんには聞こえていたようだ。
「3年か……そうだね。短いね」
3年で短いならその半分の1年半年付き合った太陽くんとの交際年月はもっと短いんだ…。
「ひま、着いたよ」
エレベーターが開いて、月くんと一緒に出る。
「ここが俺の実家」
803号室《小室》
表札を見て、緊張が増す。
「じゃあ、ひま開けるよ?」
「ま、待って…深呼吸させて」
ゆっくり深呼吸して月くんに目で合図する。
月くんはあたしの合図に答えるようにニッコリ笑ってドアを開けた。
「ただいまー、ひまわりが来たよ」
「はいはい。はじめまして、月の母です」
「は、はじめまして。谷口ひまわりと申します」
緊張しながら玄関に来てくれた月くんのお母さんに一礼をして挨拶をした。