Light of hope Ⅲ【完】番外編5?up
何?と思う暇もなく、それは煙を噴出し始めてここら一帯を覆い尽くした。
「ゴホゴホッ、何だこれ…っー」
そんな恭輔の声が聞こえたあと、手の力が少し抜けた…。
その一瞬で腕を引き抜き、走り出そうと足に力を入れた…はずだったが、
「え?」
ガクッと膝が折れ、その場に崩れ落ちた。
「くそっ、由美…」
さっきよりも弱々しい恭輔の声と激しい睡魔に襲われているこの状況…それらからこれには催眠ガスが入ってると分かった。
催眠ガスが混じっているなら、早く抜け出さないと…。
そうは思うが、もろに吸ってしまったからか身体が鉛のように重い。
何とかもう1度立ち上がろうと力を入れると、ふわりと誰かに抱き上げられた。
「よく逃げ切ったね。もう寝ていいよ」
本当なら黎の前で無防備に寝たくなどなかったが、薬の効力に逆らえるはずもなく、そこで私の意識は途絶えた。
意識が途絶える寸前、恭輔に名前を呼ばれたような気がした。