家族
「梨佳」と呼ぶ声が聞こえた。その声に反応して女の子が振り返った。
向こうで少女の母親が手をふっていた。娘を迎えに来たのだ。梨佳と呼ばれたその少女は、「はーい」と元気に答え、立ち上がった。男の子も立ち上がり膝の砂をはらった。
ふいに女の子が男の子に近づいた。二つの影が一瞬くっついた。
「また明日ね!」
と、梨佳は手を振り、母親の方へ走っていった。一人残された男の子は何が起きたのか分からないまま、梨佳が口付けてきた頬っぺたを押さえ、動けなかった。
母親と手を繋いで歩いていく梨佳を見つめながら、男の子は身体中が熱くなるのを感じた。梨佳が見えなくなった後も、男の子はしばらくの間ぼーっとしたままだった。
向こうで少女の母親が手をふっていた。娘を迎えに来たのだ。梨佳と呼ばれたその少女は、「はーい」と元気に答え、立ち上がった。男の子も立ち上がり膝の砂をはらった。
ふいに女の子が男の子に近づいた。二つの影が一瞬くっついた。
「また明日ね!」
と、梨佳は手を振り、母親の方へ走っていった。一人残された男の子は何が起きたのか分からないまま、梨佳が口付けてきた頬っぺたを押さえ、動けなかった。
母親と手を繋いで歩いていく梨佳を見つめながら、男の子は身体中が熱くなるのを感じた。梨佳が見えなくなった後も、男の子はしばらくの間ぼーっとしたままだった。