家族
「あんた高校生が煙草なんて吸っちゃいけないのよ」

彼女が強い口調で貞夫に言った。

そんなこと分かってるよ、と貞夫は心の中でつぶやいた。

「先生に見つかったら退学になるって言ってるでしょ!」

「お前には関係ねぇだろ」

「関係あるわよ!」

 彼女は少しムキになって言った。一体どんな関係があるんだよ、と貞夫は思ったが口には出さないことにした。代わりに貞夫は軽口を叩いた。

「お前がヤラせてくれたら考えてやるよ」

 梨佳の顔が真っ赤になった。赤い顔のまま、

「馬鹿!知らないからねっ!」

と、彼女はそのまま走っていった。

 予想通りの反応に貞夫は少し満足した。

 その時数人の話し声が聞こえてきたので、貞夫はその場をあとにした。
< 7 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop