POISON DOROPS《TABOO~秘密の恋~短編集》
私の肉親はもうおばあちゃんしかいない。

結局仕事だって派遣だし。

向こうにいなくちゃならない理由なんてないんだ。

彼との生活を守るためだけだったんだから…


いっそのことこっちに戻ってしまおうか。





昔に戻って

懐かしい通学路を歩く。


「変わってないなあ。」


「先輩?季菜先輩じゃないですか?」


振り向くと、

黒目がちな目が印象的な彼が立っていた。



「誰だっけ?」


「常田ですよ。2コ下の常田隼平!」


本当はすぐ判った。


だって彼は私にラブレターをくれた彼。



懐かしい。あの頃は恥ずかしくて、

彼の待つ場所に行けなかった。



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