POISON DOROPS《TABOO~秘密の恋~短編集》
彼を見上げると、

優しい目をして私を見ていた。


「辛いなら、

 こっちに帰っておいでよ。

 うち今事務募集してるよ。

 先輩なら即採用!」



「え?本気?」



まるでさっきまで、考えてた事読まれたみたいな誘い。


「もちろん。先輩に嘘は言いませんよ。

 でも、

 本当は永久就職してほしいな、俺のとこに。


 俺、

 今でも、先輩の事忘れられないんだ。」


真っ直ぐな彼の言葉に、

頷きたい嘘つきな私。



夕日を背にした彼の影が、

私の上にかかった

私は、少し背伸びをして瞳を閉じて…


重なるのを待つ。

< 14 / 70 >

この作品をシェア

pagetop