POISON DOROPS《TABOO~秘密の恋~短編集》
「またな。」
男はベッドで煙草を吸いながら
笑顔を向ける。
「うん、おやすみ。」
ベランダの衝立を押上げ
隣の自分の部屋に戻る。
半年ほど前からだ、
ベランダの避難口が私の方からだけ
鍵を開けて押し上げると
隣に行けることを知ったのは。
薄い壁のアパート。
隣に住む男は、
彼と私のことを何でも知っていて、
そして誘ってきた。
「暇なら俺と暇つぶししない?」