POISON DOROPS《TABOO~秘密の恋~短編集》

ぐいっ

引っ張り上げられる感覚。


見上げると

滝君が必死の形相


「美和ちゃん、大丈夫。」


私は滝君にしがみついてわあっと泣いた。


「滝くん、滝くん!」



彼の名を呼びながら


抱きしめられた温もりに安心しながら

さらに心拍数が上がる


怖かったから?


嬉しかったから?




人は恐怖を体験したとき

それを共にした人に

恋をしたと錯覚することがある。



錯覚なのだろうか。


でも、このドキドキ確かめたい。


順ちゃんには感じなくなった恋のときめき?



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