POISON DOROPS《TABOO~秘密の恋~短編集》
ガヤガヤと

たくさんのランナーがアップしたり、

話をしている。


いいなあ、この空気



「ユリカ、悪いけど、待ってはやれないよ、タイム上げたい。」


「うん、大丈夫。ちゃんと、自分の力で走る。」


彼は、アマチュアランナー

合コンで知り合った。


走るのが好きな私は、ランナーの彼に憧れて、

猛アタックして恋人の座を射止めた。


でも、最近判ってしまった。


彼は、一緒に楽しんで走る私より、

ゴールで、彼のことを応援して待っている。


あのマネージャーのような子が好きなんだと。


彼の視線が、あの子を捉える。

アイコンタクト


あの子の唇が


「がんばって」

と、形を作る。



ズキン



見るんじゃなかった。



心臓が痛い。





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