POISON DOROPS《TABOO~秘密の恋~短編集》

グリーンのクロスの小さなゲーム盤に

黒と白のチップを置く音が響く。


彼と私しかいない部室。


あの日と同じ。



「覚えてるよね?

 負けたほうが言う事を聞くんだよ?」


「あの頃の私とは違いますから。」


「ふうん、どう違うの?」


「付き合ってる彼がいます。」


「へえ?それはなおさら勝たなくちゃね。」


パチン。


彼が小気味いい音を立ててチップを置く。


「あ…」


くるくると白が黒に変わってしまう。


「降参?」


「まだ…負けたわけじゃないです。」


「諦めが悪いね…」


トドメの一手

ほとんどが黒くなる。



「あ…」


< 53 / 70 >

この作品をシェア

pagetop