POISON DOROPS《TABOO~秘密の恋~短編集》
「助かったよ。」


「いいえ、大したことじゃないです。」


恥ずかしくて顔が上げられない。


「足、痛いの?」


「え、あ、いいえ。」


「さっき転ばせちゃったとき?あ、草履も痛そうじゃん。」



「平気です。」



マサは少し考えてから携帯でどこかに

電話した。



「もしもし?俺。

 バイク故障しちゃってさ、ここ?

 あ、ねえ、ここは?」


「あ、原町3丁目です。」


「原町3丁目のスタンド前。よろしくね。」



迎えの車を待ちながら、お互いのたわいもない話。

夢見てるみたいにふわふわして、

甘い時間だった。



< 68 / 70 >

この作品をシェア

pagetop