かえるのおじさま
「すごい、これならお店に並べれるわね」

美也子が褒めれば、少女は短い首をすくめて「へへへ」と笑う。
その表情は、ギャロにそっくりであった。

ならば、どこまでをこの子に明かすべきか。

異界人である美也子から見ても、これほどに似ているのだ。
この子も、ギャロが少なからぬ身内であることを気取ったからこそ、ここに来たのかもしれない。

惑う美也子よりも先に口を開いたのは、次のネックレスを作り始めた少女のほうであった。

「あのね、私の名前、ギャリエスっていうの。おじさんの名前からとったんだって」

美也子が手元で作りかけていたネックレスを取り落とす。

「あのおじちゃんの名前、ギャロっていうんでしょ?」

落ち散らばった木の実を拾い上げようとした美也子は、自分の指先が震えているのを見て取った。
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