かえるのおじさま
だが、こちらの世界に来なければ決して出会うことの無い男だったことを考えれば、これを運命と言うのだろうか。

「あのね、ギャロとはそういう浮かれたものじゃなくて、きちんとした人生のパートナーとして認めて欲しいと思っているの」

ギャロリエスがくるりと目玉を回す。

「それを運命の人っていうんじゃないの?」

幼子は時として真理を言いあてる。
美也子は少したじろいだ。

「やっぱり、そうなのかなあ」

「そうなの! そのほうがロマンチックなの!」

マセているようでも、やっぱり子供だ。
自分の夢を押し通そうとしてむくれた表情が、愛くるしい。

美也子は笑いながらギャロリエスの隣に並んだ。

「そうだといいなあ」

大人なのだから、恋の先に待つものが甘い夢だけでは無いことなど心得ている。
それでも、彼が相手なら、何度でも恋してゆきたい。

「なんて、甘いわよね」

少し自嘲を含んだ声に、ギャロリエスの表情が曇った。

「おねえちゃんもやっぱり、異界に帰っちゃうの?」

「帰らないわよ。第一、帰り方が解らないもの」

「でも、お話の中では、みんな魔導士にお願いしてお家に帰っちゃうんだよ」

やはり幼い子供だ。
物語と現実が混同している。
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