かえるのおじさま
女衆は色めき立つ。

「さっそく準備しなくちゃ」

「ドレスは、私の若いころのがあるよ」

嬉しそうな声をあげる座長に向かって、男衆が笑い含みの声を投げた。

「座長、あんた、自分の体格考えなよ」

「何言ってんだい。私だって若いころは濡肌種の華と呼ばれてたんだよ!」

「それにしたって、ミャーコとあんたじゃタッパが違うだろうよ」

こうなってしまえば話は早い。
祝い事の準備に手馴れた連中なのだから、当たり前だ。
夕食には豪華な宴会料理が並び、とっておきの酒樽があけられた。

宴が始まる。
男たちは早々に酒を酌み交わし、女たちは浮かれて歌など歌っていた。
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