君×恋~キミの名を~
(3)過去~春奈~
「春奈ちゃんは、記憶喪失です」
「記憶……喪失……?」
「はい。
例えると…事故の時に思い出が詰まった
引き出しが壊れてしまった…ですね」
先生は、さっき私とお母さんにした説明と
同じことを男の子に言った。
「なぁ先生……。
春奈の記憶って戻るんやろ?」
男の子が言った。
「まぁ……。
でも、いつ戻るのかはわかりません」
そう、これが現実。
たとえ男の子が言ったように私たちが恋人
だとしても、思い出すことはないのだ。
「それでも!
俺は春奈が好きだから。それに、約束した
んだよ。
«生まれ変わっても春奈を見つける»
って!」
『なぁ春奈』
『好きだよ』
『俺、誓うから』
『生まれ変わっても春奈を見つけるって』
『ありがと……大好きだよ、ーー』
「かい………と」
私はある名前をつぶやいた。
きっとこれは、“彼”の名前。
「春奈…思い、出したのか?」
彼の言葉にゆっくりとうなずいた。
少しだけど、思い出した。
彼の名前は吉野海斗。
私の大切な…大好きな人。
「海……斗……かいとぉ!」
私が思い出したのは、たったこれだけ。
自分のことも、家族のこともわからかい。
「記憶……喪失……?」
「はい。
例えると…事故の時に思い出が詰まった
引き出しが壊れてしまった…ですね」
先生は、さっき私とお母さんにした説明と
同じことを男の子に言った。
「なぁ先生……。
春奈の記憶って戻るんやろ?」
男の子が言った。
「まぁ……。
でも、いつ戻るのかはわかりません」
そう、これが現実。
たとえ男の子が言ったように私たちが恋人
だとしても、思い出すことはないのだ。
「それでも!
俺は春奈が好きだから。それに、約束した
んだよ。
«生まれ変わっても春奈を見つける»
って!」
『なぁ春奈』
『好きだよ』
『俺、誓うから』
『生まれ変わっても春奈を見つけるって』
『ありがと……大好きだよ、ーー』
「かい………と」
私はある名前をつぶやいた。
きっとこれは、“彼”の名前。
「春奈…思い、出したのか?」
彼の言葉にゆっくりとうなずいた。
少しだけど、思い出した。
彼の名前は吉野海斗。
私の大切な…大好きな人。
「海……斗……かいとぉ!」
私が思い出したのは、たったこれだけ。
自分のことも、家族のこともわからかい。