純白の闇

「おい、暁!
今、ゲーセン行こうってなったんだけど
一緒に行かないか?」

たまに橘が誘ってくることもあるけど
いつも僕は

「ごめん、忙しいから!また誘って?」

と答える。

極々稀に一緒に遊ぶこともあるが
今はそんな余裕は無い。

それに、橘は故意的にか自然とそうしているのか
クラスから僕が孤立しないように
してくれているみたいだけど、
橘の周りの奴らは僕の事なんか
つまらない奴だと思っているようだし。

本当にそうなんだけど。


「そっか、んじゃあなー!」

橘が手を振るので
僕も手を振り返す。


階段を人を避けるように駆け下りて
内履きからスニーカーに履き替えて
耳にヘッドホンを付けて歩き出す。


ようやく、解放された。


でもそれも、家に着くまでの15分間だけ。

それでも下を向いて
ヘッドホンを付ければ
外界との繋がりは薄くなるので
僕は僕らしく居られる。

この15分間だけ僕は自由だ。

< 16 / 60 >

この作品をシェア

pagetop