純白の闇
「おい、暁!
今、ゲーセン行こうってなったんだけど
一緒に行かないか?」
たまに橘が誘ってくることもあるけど
いつも僕は
「ごめん、忙しいから!また誘って?」
と答える。
極々稀に一緒に遊ぶこともあるが
今はそんな余裕は無い。
それに、橘は故意的にか自然とそうしているのか
クラスから僕が孤立しないように
してくれているみたいだけど、
橘の周りの奴らは僕の事なんか
つまらない奴だと思っているようだし。
本当にそうなんだけど。
「そっか、んじゃあなー!」
橘が手を振るので
僕も手を振り返す。
階段を人を避けるように駆け下りて
内履きからスニーカーに履き替えて
耳にヘッドホンを付けて歩き出す。
ようやく、解放された。
でもそれも、家に着くまでの15分間だけ。
それでも下を向いて
ヘッドホンを付ければ
外界との繋がりは薄くなるので
僕は僕らしく居られる。
この15分間だけ僕は自由だ。