+°。* あんな、好きやねん * 。°+ (短編)
いつものように
「 おい。帰んぞ。」
「 うん 」
朝のショックのせいか、
足取りが重く感じる。
和貴から何を言われても
素っ気なく返事してたら、
いきなり和貴が話を変えた。
「 今日さ、」
何やろ。
まぁ、褒め言葉では無いやろな。
あんまり、期待しやんとこ。
「 里奈が玄関から出て来た時びっくりした 」
爽やかに微笑みながら言う、和貴。
「 どう、びっくりしたんよ 」
ちょっとすねながら聞いてみた。
だって、どうせ褒め言葉なんかくれへ…
「 可愛いなぁって思った 」
くれた。
やっと、褒め言葉くれた。
「 う…うぅ… 」
何か泣けてきた。
褒められただけやのに
うち、泣いてる。
「 え?!ちょ、泣くなやぁ。」
「 だっで…だっで…和貴が… 」
「 あぁ、もう!お前はホンマに…! 」
一瞬浮いた気がした。
気づけばうちは、和貴の胸にすっぽり
おさまっていた。
顔が熱くなっていくのは見やんくても分かる。
和貴の低い声が振動して伝わる。
「 お前に泣かれたらどうしたらいいか分からんやんけ 」