±10
Prologue
春木 薫。お前はなんて平凡な人生をおくっているんだ。布団に包まりながら自分自身に問い掛ける。


俺の毎日ってのはなんとも普通で、普通すぎてこんなんでいいのかって悩んだこともあるほど凡庸なものだ。

そんな俺も地球に生まれ地球で育って16年。
つまりもう高校生なわけだ。


まあ、俺もそこまでこの平凡な生活を嫌ってはいない。
むしろ好きだ。


高校生になってからの初めての寮生活。
それもこれも俺の頭があまりにも悲惨だった為に遠くの学校、白石高校に通うことになったからだ。


何で俺の家の近くには偏差値60の秀才ばかり集まる学校しかないんだろう。


……とりあえず学校に通えるだけましか。


天井を見上げる。



寮が個室でよかった。
俺、寝相が酷いらしいから。



深い眠りに誘われる。
今日もよく眠れそうだ。






毎日、朝届く親のメール見て返事はシカトして、部活行って授業うけて帰って、なんか食って寝る。
リズミカルな生活。

代わり映えのしない毎日だが、これほど楽な生活もない。





だが、その平凡さ故に非凡な何かに自ら近寄ってしまうことがある。
平凡な生活を過ごしてた俺もどこかで、なんか変わったイベントが欲しいと考え探し求めていたということだろうか。









その日の夜は天気予報が当たって見事な豪雨。
なかなか寝付けない。
外から聞こえる欝陶しいほどの雨音。


その雨音に混じって、かすかにドアのノックの音。



俺の平凡な毎日に、非凡な何かをもたらしてくれるものであったら…


いや、そんなことを願うのはよしておこう。







俺はそっと布団からでて、覗き込むようにドアを開けた。
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