あの日まではただの可愛い女《ひと》。
実は粘り勝ち。
※『非リア充ってヤーツー。6』に出てくるシーンの葵視点です。
――きっと、すごい言い訳と逃げを打つに違いない。
絶対、最低限言質はとらないと逃げられる。出来れば決定的に選ばすところまでいきたい。
俺は、桜さんの意識を失った肢体を抱きつつ、反射的に考えた。
出し抜くためにはどうすればいい? 出張帰りに桜さんを捕獲した日の朝の反省を踏まえつつ考える。
先に起きることは有効。でも、彼女の状態を想像しなくて撤退したのは失敗だった。
今回も、彼女より先に起きだして準備をすることはまず大事だろう。
シャワーを浴びてちゃんと服を着て、日常をまとうことで彼女に対抗することにした。
そろそろ起きるかな、そう思ってコーヒーを入れてベッドに腰掛けた。
相変わらず悩みのなさそうなのんきな寝顔。でも本当は、昨日聞いたようにいろんな悩みやら越えてきてる人なんだけど。
そんなことをつらつら考えていたら、ふるっと彼女の体が揺れて、背伸びをした。
シーツの下にある胸が形を変えて揺れるのを見てしまった。相変わらずの破壊力だなぁ。少し寝返りをして桜さんが瞳を開けた。
「――!?」
「おはよ」
あー。準備を整えても、気持ちを強く持ってても、このビジュアルは破壊的だ。
髪の毛はくしゃくしゃで、シーツから肩の線は丸出しだ。といっても、体のラインを予想させる手繰り寄せたシーツの皺もくるものがあったりする。本気まじまじと見てしまった。
昨日俺がキスしすぎたせいで、若干赤く腫れてるぽってりした唇に、結構泣かしたからほっぺたに少しあどけない感じの涙の跡。
そんな姿に一瞬作戦をわすれて、思わずキスをしてしまった。
もうここで桜さんのほうに最初の得点が入った感じかな。でも、彼女は驚いて一言も話せてないし、まだ巻き返せるし、巻き返してやるとも。
「好きなだけ甘えればいいと思うんですよ」
彼女に、俺たちが一緒にいる理由を不本意ながらでも納得させてしまえば、俺がそばにいても逃げたりしない。そう思って、イロイロ考えた言葉をのせてキスをした。
「…んん」
彼女が苦しそうながらもキスに応えてくる。
「や。でも――。ん」
反論する彼女を説得するようにキスを深めた。ついでに指の背で軽く首筋やあごのラインをなぞる。
「桜さん?」
「ぅ…ん」
小さく彼女がうなずいた。もう一押ししときたいかな?
俺はさらに体を押し付けて、背中や肩や鎖骨の肌触りも指で楽しみながら、キスをさらに落とした。この時点で大分力が抜けてしまって、体を隠しているシーツがだんだん緩んでしまっていることに、桜さんは気がつかない。
「わ…っかったから、コ、コーヒー飲ましてよ」
結構な掠れ声で桜さんが噛み付くように言ったのに笑ってしまった。俺はさらにまたキスをしつつ、合間にさらに彼女を追い詰める。
「本当に飲みたいの?」
「…んんん。の、む」
「ホントは甘えたいんじゃないんですか?」
「あ、朝だも…」
俺の胸に、自分の胸をこすり付けてきてるくせに、言葉だけは結構強情だ。正直このふるんとした感触に俺も追い詰められる。
ただ態度は、しょうがないなーと、ため息をついて、名残惜しげに口の端に軽くキスをした。
「わかりましたよ」
「あっ…」
身を離そうとしたら、彼女の指がTシャツに食い込んだ。
「どうしたんです?」
俺は彼女が弱い、左の耳に口を寄せて言った。
「ふぁ…」
「コーヒー飲むんでしょ?」
「んん…」
「それとも甘えます?」
「ぁ…」
俺はしばらく、息遣いが伝わるほどの距離にいるけど、緩く抱きしめているだけで、何もせずに待った。桜さんは最後の理性との戦いをしているようで、これは結構、自分でも長く感じた。
だって、好きな女が、体だけでも腕の中に入ってくるかどうかの、たぶん瀬戸際だぜ?
ただただ、彼女が自分で選んだって認識をさせなきゃいけないって一心で待った。
「――ちょっとだけ」
胸の辺りまで真っ赤になって彼女が、『甘えても、い?』と言った。
俺はとりあえずの勝利の笑いを抑えつつ、彼女の体をできるだけゆっくりと押し倒した。
――きっと、すごい言い訳と逃げを打つに違いない。
絶対、最低限言質はとらないと逃げられる。出来れば決定的に選ばすところまでいきたい。
俺は、桜さんの意識を失った肢体を抱きつつ、反射的に考えた。
出し抜くためにはどうすればいい? 出張帰りに桜さんを捕獲した日の朝の反省を踏まえつつ考える。
先に起きることは有効。でも、彼女の状態を想像しなくて撤退したのは失敗だった。
今回も、彼女より先に起きだして準備をすることはまず大事だろう。
シャワーを浴びてちゃんと服を着て、日常をまとうことで彼女に対抗することにした。
そろそろ起きるかな、そう思ってコーヒーを入れてベッドに腰掛けた。
相変わらず悩みのなさそうなのんきな寝顔。でも本当は、昨日聞いたようにいろんな悩みやら越えてきてる人なんだけど。
そんなことをつらつら考えていたら、ふるっと彼女の体が揺れて、背伸びをした。
シーツの下にある胸が形を変えて揺れるのを見てしまった。相変わらずの破壊力だなぁ。少し寝返りをして桜さんが瞳を開けた。
「――!?」
「おはよ」
あー。準備を整えても、気持ちを強く持ってても、このビジュアルは破壊的だ。
髪の毛はくしゃくしゃで、シーツから肩の線は丸出しだ。といっても、体のラインを予想させる手繰り寄せたシーツの皺もくるものがあったりする。本気まじまじと見てしまった。
昨日俺がキスしすぎたせいで、若干赤く腫れてるぽってりした唇に、結構泣かしたからほっぺたに少しあどけない感じの涙の跡。
そんな姿に一瞬作戦をわすれて、思わずキスをしてしまった。
もうここで桜さんのほうに最初の得点が入った感じかな。でも、彼女は驚いて一言も話せてないし、まだ巻き返せるし、巻き返してやるとも。
「好きなだけ甘えればいいと思うんですよ」
彼女に、俺たちが一緒にいる理由を不本意ながらでも納得させてしまえば、俺がそばにいても逃げたりしない。そう思って、イロイロ考えた言葉をのせてキスをした。
「…んん」
彼女が苦しそうながらもキスに応えてくる。
「や。でも――。ん」
反論する彼女を説得するようにキスを深めた。ついでに指の背で軽く首筋やあごのラインをなぞる。
「桜さん?」
「ぅ…ん」
小さく彼女がうなずいた。もう一押ししときたいかな?
俺はさらに体を押し付けて、背中や肩や鎖骨の肌触りも指で楽しみながら、キスをさらに落とした。この時点で大分力が抜けてしまって、体を隠しているシーツがだんだん緩んでしまっていることに、桜さんは気がつかない。
「わ…っかったから、コ、コーヒー飲ましてよ」
結構な掠れ声で桜さんが噛み付くように言ったのに笑ってしまった。俺はさらにまたキスをしつつ、合間にさらに彼女を追い詰める。
「本当に飲みたいの?」
「…んんん。の、む」
「ホントは甘えたいんじゃないんですか?」
「あ、朝だも…」
俺の胸に、自分の胸をこすり付けてきてるくせに、言葉だけは結構強情だ。正直このふるんとした感触に俺も追い詰められる。
ただ態度は、しょうがないなーと、ため息をついて、名残惜しげに口の端に軽くキスをした。
「わかりましたよ」
「あっ…」
身を離そうとしたら、彼女の指がTシャツに食い込んだ。
「どうしたんです?」
俺は彼女が弱い、左の耳に口を寄せて言った。
「ふぁ…」
「コーヒー飲むんでしょ?」
「んん…」
「それとも甘えます?」
「ぁ…」
俺はしばらく、息遣いが伝わるほどの距離にいるけど、緩く抱きしめているだけで、何もせずに待った。桜さんは最後の理性との戦いをしているようで、これは結構、自分でも長く感じた。
だって、好きな女が、体だけでも腕の中に入ってくるかどうかの、たぶん瀬戸際だぜ?
ただただ、彼女が自分で選んだって認識をさせなきゃいけないって一心で待った。
「――ちょっとだけ」
胸の辺りまで真っ赤になって彼女が、『甘えても、い?』と言った。
俺はとりあえずの勝利の笑いを抑えつつ、彼女の体をできるだけゆっくりと押し倒した。