あの日まではただの可愛い女《ひと》。
はじめてのオフ会
※番外編です。二人のはじめて出会ったオフ会の様子になります。
「え? 今日ってあの究極《アルティメット》に捧げられし聖なる白の女狂戦士《ベルセルク》が来るの!?」
「らしいよ~。ナナミが引っ張り出したらしい」
「をーーー。流石だ! ナナちゃん、いい腕してるよね」
いやはや楽しみ~などという声がそのあたりに響いた。
で、何時くらいに来るのかなぁなど話しつつ、最初の乾杯が始まった。
俺は『究極《アルティメット》に捧げられし聖なる白の女狂戦士《ベルセルク》』ってだれだっけ? とか思いつつ、生ビールを干した。
開始後、20分くらいたってから、ナナミがやってきた。後ろに体を小さくしてはいるけど、そこそこな背の高い女が立っている。
栗色の髪に、綺麗な脚の形がわかるパンツ。カシュクールのカットソーがスレンダーな体なのに、豊かな胸を浮き出しているって言うか…。
でも顔はすごい緊張しているのか、すごい無表情で、笑えば美人なのかな?って思った。
「はいはい、みんなお待たせしましたー」
いつでも元気なナナミがでかい声を張り上げて紹介する。
まぁ安居酒屋だから結構がやがやしてるし、しょうがないよな。席空けてとナナミが言って俺の斜め前くらいに二人分の席が空いた。
「初参加ですが、サクラさんですよぅっ」
をー!とか妙な声が上がる。
「あ、あの、サクラです。1年くらいしか遊んでなかったから忘れられてるかもですがよろしくお願いします」
ああ。あのサクラさんであったか。ネカマだとずっと思ってた俺はちょっと綺麗めなOLさんっぽいひとで驚いた。ナナミが周りの人間を紹介していく。
「サクラさん、一気に覚えられないと思うけど…あれ? アオイクンいたの!?」
「今気がつくって、俺ってそんな存在感ないのね、アハハ」
「あはは。めずらしいじゃん。最初からいるの。出張ばっか行ってるのかと思ってたし」
「いやまぁ、出張いきまくてるのは否定しないけどさ」
「サクラさん、こっちアオイクン。血塗られし神々の祝福を受けし最凶の黒騎士だっけ? あだ名」
「まぁそんなこといわれたことありましたネ」
サクラさんがちょっとびっくりした顔で俺のことを見てた。
「なんか変なこといいましたか?」
「いえ、なんか…口調が全然違うから驚いちゃって…」
「ああ。ゲームの? まぁ、結構キャラ作ってましたしね。リアルは俺様じゃないデスヨ。よろしくお願いします」
「こちらこそ」
そうやって緊張を少しだけ解いたサクラさんが微笑んで俺のグラスにカチリとグラスをつけた。ああ、やっぱり笑うとかなりの美人に見えた。
時間がたつと、サクラさんは結構な酒豪なことがわかった。焼酎のロックをぐびぐびやってもまったく酔った気配が見えない。
「アオイ…さんはDDO何年くらいやってたんですか?」
「アオイでいいですよ。ゲーム中も呼び捨てだったじゃないですか」
「あーまぁそうだけど、なんかこうやって会うとね…」
「確かに不思議ですよね。俺は10年以上かなぁ。もうちょっとかもだけど」
「えー。それってパソコン通信時代とか? 常時接続時代じゃないよね!?」
「まぁ、テレ放題の時間に必死につないでましたね」
ちょっとだけほぐれてきて、へにゃとか、サクラさんはなりながらイロイロなことを話した。そういやこの人との戦闘ものすごい楽だったんだよなぁ。
「サクラさんって、戦闘の時いきなり飛び出していったよね。あれって怖くないの?」
「ああ、モンスターが100匹とかいると逆に燃えるというか、なんかむしゃくしゃしてた時期だから囲まれつつ、やっつけれるとスカッとするよね」
そういう他愛ない話をしてると、いい時間になったので解散となった。
なんとなく、同じ方面の人間で帰ろうとしていると俺とサクラさんの二人きりになった。
最寄り駅も同じだったのですごく驚いたが、それより驚いたのはものすごい雨が降り出していたことだった。
「あちゃー」
「困ったねぇ…」
「でもすぐ降り止みそうですよ」
「そんな感じがするね。…お茶でも飲んで時間つぶさない?」
この人結構、肉食系なのか? 意外と積極的に振舞うサクラさんにちょっとびっくりした。…が、本当に喫茶店だったのでただの天然だという認定をすぐにすることになるのだが。
「DDO最後の日にアオイと二人で話したのすごい覚えてる」
「ああ。なんか、二人っきりになっちゃいましたよね、あの時も」
俺は話の中身をほとんど忘れていたが、彼女とたまたま二人っきりになったことを思い出してはいた。
「急に私ゲームやめちゃったから、なんとなく後ろめたかったんだけど、アオイとあの時話せてちょっとすっきりしたんだ、アリガトネ」
そうサクラさんは言って、『雨上がったみたい』といった。
その後途中まで一緒に歩いて、別れた。
俺はあの日にサクラさんに一体何を言ったんだろう?ってことが妙に気になった。
「え? 今日ってあの究極《アルティメット》に捧げられし聖なる白の女狂戦士《ベルセルク》が来るの!?」
「らしいよ~。ナナミが引っ張り出したらしい」
「をーーー。流石だ! ナナちゃん、いい腕してるよね」
いやはや楽しみ~などという声がそのあたりに響いた。
で、何時くらいに来るのかなぁなど話しつつ、最初の乾杯が始まった。
俺は『究極《アルティメット》に捧げられし聖なる白の女狂戦士《ベルセルク》』ってだれだっけ? とか思いつつ、生ビールを干した。
開始後、20分くらいたってから、ナナミがやってきた。後ろに体を小さくしてはいるけど、そこそこな背の高い女が立っている。
栗色の髪に、綺麗な脚の形がわかるパンツ。カシュクールのカットソーがスレンダーな体なのに、豊かな胸を浮き出しているって言うか…。
でも顔はすごい緊張しているのか、すごい無表情で、笑えば美人なのかな?って思った。
「はいはい、みんなお待たせしましたー」
いつでも元気なナナミがでかい声を張り上げて紹介する。
まぁ安居酒屋だから結構がやがやしてるし、しょうがないよな。席空けてとナナミが言って俺の斜め前くらいに二人分の席が空いた。
「初参加ですが、サクラさんですよぅっ」
をー!とか妙な声が上がる。
「あ、あの、サクラです。1年くらいしか遊んでなかったから忘れられてるかもですがよろしくお願いします」
ああ。あのサクラさんであったか。ネカマだとずっと思ってた俺はちょっと綺麗めなOLさんっぽいひとで驚いた。ナナミが周りの人間を紹介していく。
「サクラさん、一気に覚えられないと思うけど…あれ? アオイクンいたの!?」
「今気がつくって、俺ってそんな存在感ないのね、アハハ」
「あはは。めずらしいじゃん。最初からいるの。出張ばっか行ってるのかと思ってたし」
「いやまぁ、出張いきまくてるのは否定しないけどさ」
「サクラさん、こっちアオイクン。血塗られし神々の祝福を受けし最凶の黒騎士だっけ? あだ名」
「まぁそんなこといわれたことありましたネ」
サクラさんがちょっとびっくりした顔で俺のことを見てた。
「なんか変なこといいましたか?」
「いえ、なんか…口調が全然違うから驚いちゃって…」
「ああ。ゲームの? まぁ、結構キャラ作ってましたしね。リアルは俺様じゃないデスヨ。よろしくお願いします」
「こちらこそ」
そうやって緊張を少しだけ解いたサクラさんが微笑んで俺のグラスにカチリとグラスをつけた。ああ、やっぱり笑うとかなりの美人に見えた。
時間がたつと、サクラさんは結構な酒豪なことがわかった。焼酎のロックをぐびぐびやってもまったく酔った気配が見えない。
「アオイ…さんはDDO何年くらいやってたんですか?」
「アオイでいいですよ。ゲーム中も呼び捨てだったじゃないですか」
「あーまぁそうだけど、なんかこうやって会うとね…」
「確かに不思議ですよね。俺は10年以上かなぁ。もうちょっとかもだけど」
「えー。それってパソコン通信時代とか? 常時接続時代じゃないよね!?」
「まぁ、テレ放題の時間に必死につないでましたね」
ちょっとだけほぐれてきて、へにゃとか、サクラさんはなりながらイロイロなことを話した。そういやこの人との戦闘ものすごい楽だったんだよなぁ。
「サクラさんって、戦闘の時いきなり飛び出していったよね。あれって怖くないの?」
「ああ、モンスターが100匹とかいると逆に燃えるというか、なんかむしゃくしゃしてた時期だから囲まれつつ、やっつけれるとスカッとするよね」
そういう他愛ない話をしてると、いい時間になったので解散となった。
なんとなく、同じ方面の人間で帰ろうとしていると俺とサクラさんの二人きりになった。
最寄り駅も同じだったのですごく驚いたが、それより驚いたのはものすごい雨が降り出していたことだった。
「あちゃー」
「困ったねぇ…」
「でもすぐ降り止みそうですよ」
「そんな感じがするね。…お茶でも飲んで時間つぶさない?」
この人結構、肉食系なのか? 意外と積極的に振舞うサクラさんにちょっとびっくりした。…が、本当に喫茶店だったのでただの天然だという認定をすぐにすることになるのだが。
「DDO最後の日にアオイと二人で話したのすごい覚えてる」
「ああ。なんか、二人っきりになっちゃいましたよね、あの時も」
俺は話の中身をほとんど忘れていたが、彼女とたまたま二人っきりになったことを思い出してはいた。
「急に私ゲームやめちゃったから、なんとなく後ろめたかったんだけど、アオイとあの時話せてちょっとすっきりしたんだ、アリガトネ」
そうサクラさんは言って、『雨上がったみたい』といった。
その後途中まで一緒に歩いて、別れた。
俺はあの日にサクラさんに一体何を言ったんだろう?ってことが妙に気になった。