俺の彼女


「麻美ちゃん、俺さぁ……」   

と、言い掛けたところで、

「はいっ、どうぞ!」


と、タイミングよくカップを差し出され、渋々、紅茶を口にした。 


口の中に広がる、ミルクティーの甘さと茶葉の香り。

『出鼻を挫かれた』とは、このことだ。 


目の前では、「ふぁ〜」と大きな欠伸をする麻美ちゃん。


「眠そうだね。今日は疲れた?」


「ううん、大丈夫だよ」


そう言いながらも、目尻から流れた涙を人差し指で拭ったのを、俺は見逃さなかった。


「やっぱり、眠そうだよ。ベッドで横になったら?」


「ううん、ホントに平気だから気にしないで!
…あっ!そんなこと言って、実は、俊ちゃん、襲うつもりだったりして〜」


ケラケラ笑いだす始末。



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