ありがとう。
私の言葉に奏君は私を放して、自分の手で私の頬に触った。
そして、親指で私の涙を拭った。
「聞くよ。」
ただ、その一言だけで私の心はいっぱいになったんだ。
自分から奏君を抱きしめた。
私からなんて、奏君は最初びっくりしていたけれど、もう一度抱きしめてくれた。
「私はね・・・・生まれつきの心臓病なんだ。」
私が言うと、奏君の体はかすかに動いた。
けど、すぐに震えてる私の手を左手で握ってくれた。
「知ってる。」
私はその言葉で逆に驚いた。
何で知ってるの?
もしかして、今までのは同情なの?
「美喜のお母さんに聞いた。
・・・・でも俺は同情とかじゃなくて、美喜が大好きだから、離れられなくて。
離れていかれるのが怖くてずっと、知っているって美喜に言えなかった。」