ありがとう。







門があと少しの所で、美喜のあの寂しそうな笑顔が頭の中をちらつく。




嫌な予感がして振り返ると、美喜は俺のことを見て、まだ寂しそうな顔をしていた。





「美喜ー!愛してる!」



思わず叫ぶと、恥ずかしくなって俺は走った。



すると、


「奏君!愛してる!」



という美喜の声が聞こえた。





思わず耳をすますと聞こえるはずのない美喜の呟きが聞こえた気がした。




「さようなら。」




俺はたいして気にしなかった。




だって美喜がそんなこというはずないから。





けど、その時戻れば良かった。



後から後悔することになると、俺は知らなかった。







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