ありがとう。
「椅子は全員分ないから、ベットにでも座って。」
俺と白鳥と詩歌はパイプ椅子に。
勝利と長谷川はベットに。
それぞれ自分の座る場所を見つけると、中西さんは自分も残り1つの椅子に座った。
そして、口で息を吸うと話を始めた。
「----、私はこの町で美喜ちゃんと出会った。
初めて会った日『なんて孤独なんだろう』って思った。
いつも何も見ていなくて、何も話さなかった。
何のために生きているのか自分でもわからないでいた。
あの時の美喜ちゃんは、生きようと思っていなかったの。
生きながら、死んでいた。
でも、ある日突然あの子が笑ってこの病院に来た。
その時はまだ入院してなくて、毎日会っていた訳ではなかったけれど私たちにとって、初めて見る美喜ちゃんの “表情” だった。