ありがとう。
《中西side》
「やっぱり、私は美喜ちゃんに敵わないのかな。」
いつの間にか流した涙をふきながら、美喜ちゃんとの出会いを思い出す。
一年前の出会ったあの日、彼女は言った。
その日は、夫と大げんかした翌日で、美喜ちゃんの言葉に救われた。
『先生は、ありがとうと言えるんです。そして、言ってくれる人がいる。それだけで幸せじゃないですか?』
でも、一つ間違ってたよ。
美喜ちゃんはその時私は不幸だから。と言ったけれど、あなたも十分に “幸せ” じゃない。