ありがとう。






「奏君、やめなさい。」



いつもより、強く厳しい詩歌の声。




詩歌、お前はあの話が俺たちに起こると思っているのか?



美喜が死んでしまうと思うのか?





俺だってそう思ってしまう。



この向日葵を彼女に渡したら、俺の愛する彼女は1ヶ月をまたずに翌日に死んでしまうのではないか……



そう考えてしまう。






だけど



「俺は美喜にこの向日葵を渡すよ。」




だって、美喜が叶えたい願いを持っているから。



美喜がずっと探していたから。



そして何より、この レモンの向日葵が
俺たちに 出会い をもたらしてくれた。



「どうして!?

もし、その向日葵に伝説どおり、願いの叶う力があるのなら、美喜ちゃんは伝説と同じように死んでしまうのかもしれない!
そして、奏君自体が壊れてしまう!!


そんな、2人が不幸になることは絶対起こさせない!」




詩歌、


それは違う。







< 211 / 288 >

この作品をシェア

pagetop