ありがとう。
《奏side》





病院に着いて美喜のお母さんも勝利たちも俺に気を遣ってか、家に帰って行った。



向日葵をナースステーションで貰った花瓶にさして彼女の頬を撫でる。





「美喜」




そっと、彼女の名前を呼んだ。






「か・・なた・・・くん」




空耳--?





俺が驚いて彼女の顔をみると、最初閉じてあった瞼がゆっくり開いた。





「奏君。」



目に涙を浮かべ、囁くように俺を呼んだ。



「美喜ッ!」



無我夢中で愛する彼女の体を抱きしめる。




まるで、存在を確かめるように強く



そして、愛で包むように優しく。







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