ありがとう。
俺が杉崎先生に呼ばれると、美喜が不安そうに俺の手を握る。
こんな時でさえ、可愛いと思ってしまう。
少し泣きそうな顔を俺に向け、その純粋な瞳でみつめる。
「美喜、それ反則だから。」
「えっ?」
おれはわざと美喜の耳元に顔を近づける。
「美喜、俺は絶対戻ってくるから。てか、おれの可愛い美喜をおいてくわけないだろ?」
おれの言葉で顔を真っ赤にする美喜の頬に軽くキスをすると、俺は杉崎先生のあとについて行った。
「美喜ちゃん、愛されてる〜。」
「かっ看護師さん、からかわないでくださいっ。」
扉を閉める時、美喜の照れた声が聞こえた。
あ〜、ほんっと俺の彼女は可愛い。
こんな時だけど、やっぱり俺は美喜にベタ惚れだ。
ガラッ
「奏君だったね。座って。」
「はい。あの、何でおれをここに?」
「君は、知っているのかい?」
「美喜があと一ヶ月ってことですか?」
おれは無意識のうちに、握る手の力を強める。