ありがとう。






「わかっていると思うが、あの子の心臓病は今の医療技術じゃ完璧に治すことは出来ない。いつか、永遠の別れがくる。」



そんなこと、今まで何回も考えてきた。



俺が1番わかっている。




「覚悟が出来ている・・・とは言えません。それでも、俺は一生分の愛情をあいつに捧げる自信がある。あいつを心から愛している。」





だからこそ、




「でも、俺が逃げちゃダメだと思うんです。1番辛いのは美喜だから。彼氏の俺が支えなくちゃいけない。


人はいつか永遠の別れがきてしまう。


俺たちの場合、それが早かっただけ。」




そうだ。


それだけのこと。



わかっている。


もう、受け止めた。




だけど、いつの間にか流れ出した涙が止まらない。





「でも、やっぱりあいつがいなくなっちゃうことを認めたくない。


あいつが助かるのであればなんだって出来る。


あいつが笑っていられる時間が少しでも増えるのなら俺の心臓をあげたっていい。」





そうだ。


俺の心臓をあげれば・・・--





「それで美喜さんが喜んでくれるのかい?
もし彼女が君の心臓で生き残れたとしても、君がそばにいなければ彼女の心が壊れてしまうだろう。

今の君みたいに。


それに、それ以前に前提で君の心臓は美喜さんに移植出来ない。」



は?


どうしてだ?








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