ありがとう。
「彼女の心臓病の種類は “心筋炎” といわれるもので心臓の筋肉が炎症を起こして心臓の免疫力が低下するものなんだ。
もともとこの病気は珍しい方の病気だし、原因も詳しくはわかっていない。
美喜さんの場合、小さい頃から炎症がひどくて治らないんだ。
もう、心臓の移植をするしかない。
だけど、この日本では心臓移植があまりできないんだ。
心臓を提供できるのは脳死と判断された患者だけなんだが、日本では脳死と判断する基準が厳しくて提供者が少ない。
アメリカに問い合わせても、彼女の血液型で彼女の体に合う心臓は見つからない。
たとえ無理矢理移植しても、体に心臓が合わないとすぐに死んでしまう。
君の血液型は残念ながら、美喜さんの血液型……O型ではない。」
それじゃあ・・・
最後の希望を砕かれた気分だった。
たとえ俺が死んでしまっても彼女さえ生きてくれていればいいのに。
俺は、ただそれだけを願っているのに。
「俺には、何も出来ないのか?」
絶望しか感じれなかった。
「いや。奏君、君にしか出来ないことがある。」