ありがとう。






どうして、上手くいかないんだ?




美喜には生きて欲しい、



それは心から思っている。



でも、もし手術中に死んでしまったら?



俺は、どうすればいい?






“愛する人のそばでずっと愛を捧げ、彼女を受け止めろ”




突然、そんな言葉を思い出した。





そうだよな。



お前の願いを俺は叶えなきゃいけないもんな。




ヨウが俺に託したんだ。





「美喜のお母さん、ありがとうございました。美喜の検査っていつ終わりますか?」



「まだ30分はかかるから、ここで何か注文していいわよ。今日は、私が奢るからね。」



美喜のお母さんは安心したように、ホッと笑う。




「教えてくださって、ありがとうございます。」



「奏君は、優しいわね。

こんなにも、美喜を思ってくれてありがとう。本当は美喜でいいのか不安だった。

死んでしまうのかもしれない、そんな美喜で後悔しないのかって。」





そんなこと、思ったことはない。



美喜は美喜だから。



俺は他の誰でもなく、美喜に惚れているんだ。




今までのなによりも強くて苦しい思い。




………きっと優も見守ってくれてるよな?







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