ありがとう。
屋上の扉が開く音と共に、大好きな君の声がする。
「奏君。」
「こんな所でなにしてんだよ?
探すのも大変なんだからな。」
「ゴメンね。なんか、ここに来なくちゃいけない気がしたの。」
「何だよそれ。」
奏君はそう言うと、私を抱きしめた。
「美喜。俺、美喜のこと全部知りたいよ。お前の苦しさも悲しみも辛さも、全部受け止めたい。」
そうだったね。
奏君はいつも私を受け止めたいと言ってくれた。
「奏君、私ね手術するよ。」
「うん。美喜のお母さんから聞いたよ。」
「成功すれば、奏君ともっと一緒にいられるようになるの。」
「うん。」
「だけどね、すごく、怖い。」
「わかるよ、美喜の気持ち。こうやって抱きしめてると伝わってくる。」
奏君はそういうと、私の頭を後ろから自分の胸に押し付ける。