ありがとう。








「君たちは美喜の友達かい?」



俺が驚いて声のする、美喜のお母さんの後ろをみると



今まで気付かなかったのが不思議なくらい近くに男の人が立っていた。





「こんにちは。美喜の父親の秋塚健と言います。」



普段は優しいであろうその顔には、ただ悲しみだけが浮かんでいた。





「君たちが来る少し前に、美喜の呼吸が止まってしまったんだ。


とりあえず、心臓マッサージをしたから呼吸はできるようになったんだ。


けど、このままじゃ危ないから、予定されていた手術を、今行っている。」






呼吸が・・・止まった?





『奏』



『愛してる』





行かなきゃいけない。






もう一度、あの場所に。





俺は気づいたら走り出していた。




あの向日葵の花畑へ









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