ありがとう。
「ここは・・・」
しばらく走って、うろ覚えの道を進んで着いたのは
何も無い、ただの野原だった。
いや、一つだけ。
そこには、二つの墓石が立っていた。
「どうして、無いんだよ。頼むよ。美喜が死んでしまう前に、もう一度・・・。」
どうして、何も無いんだ?
あの時、確かに光輝く向日葵で溢れていたあの地は
跡形もなかった。
「アオイさん、ヨウさん。助けてくれよ。あんたたちの願いだったんだろう?!」
どうして、何も言ってくれないんだ?
『愛する人のそばでずっと愛を捧げ、彼女を受け止めろ』
その時、彼の願いを思い出す。
・・・ああ、そうか。
これが運命なら、自分の手で変えなきゃいけない。
そう言いたいんですよね、ヨウさん。
お墓に近づき、静かに手をあわせる。
「俺は、美喜を信じます。」
そして、愛します。
俺の最後の恋にするって、誓う---
俺はしばらくそこで手をあわせていた。