ありがとう。
美喜の病室に1人で行って、もう何も飾られていない花瓶を見る。
美喜の使っていたまだ布団が乱れているベッドの上に座り、今度は床を見つめた。
美喜が死んだ。
目の前の何もかもがが真っ暗になった。
何もかもがどうでもよくなった。
比べるのは不謹慎だけど
優の時よりずっとずっと辛くて心が痛い。
「美喜。愛してる。」
いつも顔を真っ赤になりながら返ってくる
『私も、奏を愛してるよ』
が聞こえない。
いつも隣にいた、小さな体を抱きしめたいのに
その姿がない。
いつも意地悪すると、うるうるさせて見上げる上目遣いも
優しく背中に抱きしめてくれるあったかい腕も
一生懸命に俺のキスに答えてくれる、唇も
何よりお前の愛が・・・俺のそばに無い。