ありがとう。
はあ?
「泣け!」
意味わかんないし。
「知ってるか?
悲しい時に泣けない奴はもう心が壊れてるんだってよ。
俺が肩貸してやるから、泣けよ。」
………まさか、俺が勝利に何かを教えてもらう日がくるなんてな。
「奏、泣いてないの?」
長谷川も俺の肩に手を置く。
「勝利、悪いけど。少し我慢してね。」
そう言った長谷川は勝利の手をどかして俺を抱きしめる。
「美喜の代わりになんてならないけど。私を美喜だと思って、全部ぶつけていいよ。」
そんなことできるわけーーー
「奏、美喜に何を言いたかった?」
気づいたら、俺も長谷川の体を抱きしめていた。
俺の腕にすっぽり入ってしまう美喜よりも、少し大きい長谷川の体。
「お前はバカだよ。」
「………。」